新宿のオリンパスプラザ内にある「オリンパスギャラリー東京」にて昨日(11月9日)まで開催されていた写真展を見に行ってきました。以前、このブログでも写真集を紹介した岡山の写真家、木村琢磨さんの写真展です。
木村琢磨 写真展「Bright Size Life」
木村さんは岡山県でプロの広告フォトグラファーとして活躍する一方で、独自のスタイルで街や風景、ネイチャーフォトを撮っている写真家さんです。今回の写真展で展示されていた全ての写真は、木村さんが生まれ育った地元岡山で撮られたものだそうです。
【オリンパスギャラリー東京】2016年11月4日~11月9日 木村 琢磨 写真展|写真展:OM SYSTEM GALLERY|ショールーム/写真教室|OMデジタルソリューションズ
木村さんは雑誌「デジタルカメラマガジン」での執筆の他、自信のウェブサイトやSNSでも様々な写真、作品を発表されています。会場にも展示されていましたが、デジタルカメラマガジン2016年10月号の表紙写真は木村さんによるもの。
写真展のタイトルは「Bright Size Life」。そう、ジャズギタリスト、パット・メセニーのソロデビューアルバムのタイトルと同じです。写真展のタイトルフォトも本家「Bright Size Life」のアルバムジャケットをモチーフにしたデザインになっています。
ここで私がパット・メセニーについて語り出すと好き過ぎて止まらなくなってしますので、控えておきますが、木村さんも私同様にパット・メセニーの音楽を深く敬愛し、また氏の音楽から受け取った多くのインスピレイションを、自信の作品に投影しているそうです。
そんな木村さんだから、初の東京での写真展にメセニーのデビュー作のタイトルを重ねたのだとか… なんて話も、実際に会場にてご本人から伺うことができました。写真展では木村さんが生まれ育った岡山の自然や街を、非常にユニークな視点から捉えた作品が数多く展示されていました。木村さんの写真はどれも色彩の美しさや、光の表現が独特なのですが、なによりこの「視点」の独創性が氏の大きな個性なのだなぁと素人ながらに感じております。
通常のスチルカメラの他、木村さんの代名詞(?)でもあるOLYMPUS AIR A01とルミカのBi Rod(通称木村棒)を使ったハイアングル撮影、ドローンによる空撮、そして防水カメラのSTYLUS TG-3 Toughを使っての水中マクロ写真など、機材の個性を最大限に利用した新たなアングルの開拓は木村さんの真骨頂でしょうか。
私もTGを使っているのですが、これらの水中写真の美しさには驚きで、思わず撮影状況などを伺ってしまいました。とてもコンデジで撮られた写真とは思えませんよね…。
そして「音楽と写真は似ている」と語っていた木村さん。私もこれまでパット・メセニーの音楽から様々な色彩感や映像、絵画的なイメージを受け取ってきたともあり、そんな木村さんの話には大いに共感できるものがありました。
おまけ:木村琢磨さんの写真を見ながら聴きたい音楽
会場では写真展のタイトルであるメセニーのアルバムがエンドレスで流れていたのですが、これまでTwitterや今回の会場にて木村さんとお話した中で、登場したアーティストの作品を最後にいくつかかご紹介。木村さんが好きだと語る音楽が、驚く位に私と似通っていたこともあり、そのような方の撮る作品により共感してしまうのかもしれません。
「Bright Size Life」はジャコ・バストリアスがベースを奏でるオリジナルの録音も素晴らしいですが、2000年頃にラリー・グレナディア(b)、ビル・スチュアート(ds)というトリオのライブでも、同曲がオープニングナンバーとして演奏されています。
Pat Metheny Groupなどとは違う、ジャズギタリストとしての本領を発揮したかアグレッシブな演奏を聴くことができるライブ作品です。
以前、Twitterで好きだと仰っていた作曲家スティーブ・ライヒ。この「18人の音楽家のための音楽」はライヒの代表作であり、いわゆるミニマルミュージックの定番中の定番作品。自然の中に身を委ねているときの、徐々に自分がその風景の一部に溶けこんで行くようなイメージってまさにこのような音楽かもしれません。
細かなパルス(信号)が次々に、そして流れるように姿を変えながら、徐々に大きなうねりが生まれていく… まるで、川の流れや雨と水面の波紋を見ているように… そんな不思議な感覚にトリップできるかもしれません?最後は最近発売されたエリック・ジョンソン(も木村さんのフェイバリット)というアメリカ人ギタリストのアコースティック作品。ギターの他に氏のピアノの演奏も納められています。かれこれ10年近く前にエリック・ジョンソンが来日した際、このようなギターとピアノのアコースティックのライブを行ったことがあるのですが、その頃から本作のコンセプトを持っていたのかもしれません。
美しいギターの音色、実直な人柄を表すような端正なピアノ、そしてエリック・ジョンソンの優しい歌声と、ここ最近聴いた中でも個人的にイチ押しのアルバムです。