群馬県の伊香保温泉に泊まった翌日、吾妻郡長野原町の八ッ場ダムを訪れました。

- 伊香保温泉から八ッ場ダムへ
- 「吾妻峡レールバイク アガッタン」を体験する
- 吾妻峡八ッ場駅、しばし八ッ場ダムを眺めて雁ヶ沢へ
- 「うどん専科 麦の香り」ランチ、やんば見放題
- なるほど!やんば資料館で「やんばお気楽ガイド」
- 八ッ場ダム周辺を散歩:八ッ場ダム写真集
- やんば茶屋、道の駅 八ッ場ふるさと館、不動の滝
伊香保温泉から八ッ場ダムへ
八ッ場ダムは利根川水系の吾妻川に建設された多目的ダムで、2020年に完成した新しいダムです。
八ッ場ダム | 利根川ダム統合管理事務所 | 国土交通省 関東地方整備局
民主党政権時代の建設中断は大きなニュースとなり全国的に注目されましたが、運用開始前だった2019年の試験湛水時、全国に大きな被害ともたらした令和元年東日本台風(台風19号)の激しい降雨により数日のうちにダム湖が満水となったことでも(下流の流域を水害から守る一助になったことで)大きな話題となりました。
せっかく伊香保温泉に行くなら、この八ッ場ダムも見てみたいと思いました。

伊香保温泉から八ッ場ダムは車で45分程度。榛名湖経由でも行けますが峠越えルートになるので燃費を考慮して、今回は一端吾妻川沿いに出て上流を目指すルートで移動しました。
吾妻川流域の山間部は登山も含めあまり訪れたことがなく(浅間山と四阿山ぐらい?)、旅行でも四万温泉を一度訪れたきり(はるか昔、草津温泉や野反湖に行った気はする)。上信道の吾妻西バイパスや八ッ場バイパスを走ったのも今回が始めてでした。
「吾妻峡レールバイク アガッタン」を体験する
八ッ場ダムに行く前にやってきたのはダムの少し下流にある吾妻峡(吾妻渓谷)の少し下流にある東吾妻町の雁ヶ沢。今回の旅行の数日前に八ッ場ダム周辺を調べていた際に「吾妻峡レールバイク アガッタン」なるアクティビティの存在を知り、予約していたのでした。

吾妻川そって走るJR吾妻線ですが、八ッ場ダムの建設に伴い下流側の岩島駅から長野原草津口駅の間は線路が付け替えられることになり、現在は旧線路の一部はダム湖の底に沈んでいます。ダム直下から岩島駅の間は廃線区間となり、その廃線を利用したレールバイクがアガッタンです。

一日往復で4〜5便が運行され、出発は「雁ヶ沢駅」。片道約2.5kmの距離を走り、八ッ場ダム直下の「吾妻峡八ッ場駅」で折り返します。片道利用も可能で、3人乗りのトロッコで片道3000円、往復で5000円という乗車料金になっています。似たようなアクティビティに飛騨神岡の「Gattan Go!!(ガッタンゴー)」がありますが、こちらは「ガッタン」に「あがつま」を掛け合わせた「アガッタン」。

出発時刻の15分前までに受付をすませ、レンタルのヘルメットを被って準備。トイレは吾妻峡八ッ場駅側にはないので済ませておきましょう。

受付や駐車場があるのは旧国道145号の雁ヶ沢交差点の横ですが、雁ヶ沢駅までは徒歩で3分ほど歩きます。雁ヶ沢交差点から吾妻川を渡ると対岸には「道の駅 あがつま峡」があり温泉施設(吾妻峡温泉天狗の湯)などもあるようです。正面奥、旧国道と山の間に廃線となった吾妻線の線路があります。

アガッタン雁ヶ沢駅。

雁ヶ沢駅と吾妻峡八ッ場駅、どちら吾妻線にはなかったアガッタンの専用駅です。

複数のトロッコがレール上に設置されていて、定刻になると順番に出発します。

3人乗りトロッコの両側には動力源として改造されたパナソニックの電動アシスト自転車が設置されていて、2人で自転車のペダルを漕ぐことで進む仕組み(3人目は中央の荷物入れを兼ねた椅子に座ります)。

往路は軽い登りですが、電動アシストもあり力を入れて漕ぐようなことは殆どありません(漕ぎ過ぎると前のトロッコに追いついてしまうので、限りなく軽く漕ぐイメージ)。

出発します。前のトロッコとは一定の距離を開けて走ります。追いついてしまうと気まずいので、ギアは落としてゆっくりと漕ぎました。

橋を渡ったり踏切で一時停止をしたり……

吾妻真田忍者の屋敷跡。

推進力をレールに伝えているのは自転車の後輪ですが、トロッコの車台は金属の車輪が前後2箇所でレールに乗っているので、レールの継ぎ目を越える際に「ガッタン」という音と軽い振動があり、線路の上を走っていることを実感できます。



トンネルに入ります。トンネルの中はひんやりとしています。

吾妻線が走っていた当時は日本一短い鉄道トンネル(7.2m)だったという「樽沢隧道」(樽沢トンネル)。

こちらのトンネルの中にはライトアップ……

八ッ場ダムの巨大な堤体が見えてきたら終点「吾妻峡八ッ場駅」が近いです。


到着すると一端駅からは出られますが、直後の復路便は10分後の出発です。ダムのエレベーターに乗ると間に合わないからやめろと注意書き。ダム観光を挟むなら1本後の便にするというのもアリだと思います。

吾妻峡八ッ場駅、しばし八ッ場ダムを眺めて雁ヶ沢へ
これが初めて見る八ッ場ダム。高さ116m、堤頂長291mとなかなかに巨大な重力式コンクリートダム。サイズ感としては大井川の長島ダムとまあまあ近い感じ。

この後、また訪れる予定ですがとりあえず下まで行って見上げておきます。

ダムの下流には吾妻渓谷(吾妻峡)。

正面に見える展望台も気になりますが行ってる時間はないので後ほど……。

ダム建設によって途切れた旧国道の終点がロータリーになっていますが車の姿はありません。吾妻峡はマイカー規制されているようで、観光の際は雁ヶ沢との中間あたりにある吾妻峡橋周辺の駐車場に車を停めての徒歩移動になります。アガッタンを片道利用して、片道分吾妻峡を歩くのもいいでしょう。

電動アシストトロッコの前後にはスーパーカブを2台合体させたスタッフ用のトロッコが配置され、先導としんがりを務めます。

雁ヶ沢駅までの復路は下りということもあって、あまりペダルを漕ぐ必要はありません。前のトロッコに追いつかないよう、極限までゆるゆるに漕ぎます。

第一松屋橋梁。山側には水力発電の導水管、線路の反対側には松谷発電所。山の上にある鍛冶屋沢ダムの水で発電を行っているようです。鍛冶屋沢ダムは山道を歩いてしかたどり着けないダムのようでなかなか面白そう。
群馬県 鍛冶屋沢ダム|水力発電|東京電力リニューアブルパワー株式会社

雁ヶ沢駅に戻ってきました。上に見えているのは国道145号の八ッ場バイパスと、バイパスへの合流で雁ヶ沢からループを描いて登って行く雁ヶ沢三号橋。

岩島駅方面の線路は残っています。以前は正面の橋梁を越えた先に、岩島駅方面の「田園コース」という短いコースも設置されていたようですが、現在は運行されていません。

次の運行に備えてスタッフが手動でトロッコの向きを吾妻峡八ッ場方面に戻しています。

雁ヶ沢駅の横にある東京電力関連の施設。先程見た松谷発電所から流れてきているのかな?


まあまあの水量の水が流れています。

雁ヶ沢川の上には水路橋のような橋が掛けられています。先程の水は直接、雁ヶ沢川に戻すのでなく掛樋で渡してから少し下流の吾妻川に流しているのか?

雁ヶ沢、かなり深い谷です。

アガッタン事務所の裏手から見上げる国道145号線(八ッ場バイパス)。車でバイパスに出て雁ヶ沢トンネルを抜けると八ッ場ダムのダムサイトです。

「うどん専科 麦の香り」ランチ、やんば見放題
八ッ場ダムの左岸側にある「うどん専科 麦の香り」でランチ。ダムサイトにはこの他に、蕎麦屋とダム施設の軽食&土産コーナーの「やんば茶屋」があります。

群馬県、渋川伊香保エリアといえば水沢うどんが有名ですが、こちらは讃岐うどんとのこと。讃岐うどんと水沢うどん、何が違うのかもよく分かりませんが、注文したのは期間限定の穴子天ぶっかけうどん。

大きな穴子天にコシのあるうどん、美味しかったです。

食後は近くの展望台「やんば見放題」へ。八ッ場ダムの建築時から工事の様子を見ることができる展望台だったそう。

展望台からは八ッ場ダムとダム湖(八ッ場あがつま湖)が一望できます。

やんば見放題の解説看板いろいろ。




ダム湖の水の色はなかなか鮮やかなエメラルドグリーン系。吾妻川は上流部に草津温泉や万座温泉がある影響で本来の水質は強めの酸性ですが、流入河川で行っている吾妻川中和事業により八ッ場あがつま湖の水は中性〜弱酸性に保たれているそうです。それが水の色に関係しているかは知りません。


ダムの貯水量は40%程度とかなり低め。上部のクレストゲート(非常用放流設備)よりも低い位置に水面があります。左側の網戸のようなのは選択取水設備。任意の深さから水を取水できる設備で、吾妻川下流の生き物などに影響の少ない水温の水を取水して放流する仕組みです。

ダム左岸。正面の建物は国土交通省の八ッ場ダム管理支所で「なるほど!やんば資料館」としても公開されています。手前の平屋の建物は「やんば茶屋」。その手前に見える流れ込みは山からの雪代や降水による沢水を流す水路のようです。

ダム右岸。ダム天端から続く両岸のトンネルは工事終了後に役目を追えて、現在は日本酒やウイスキーの貯蔵庫として活用されているそうです。

右岸側にも山からの水路。流れている水は雪代でしょう。

スロープを散水車が走っていました。

ダム右岸にある新しい住宅地はダムに沈む集落から高台に集団移転した川原湯温泉の住宅地。

八ッ場あがつま湖の上流側、手前から八ッ場大橋と不動大橋。

水位が低いこともあり橋脚がかなり見えています。2つの橋の間の右岸(写真左側)に見えているのも高台移転した川原湯温泉。吾妻線の新しい川原湯温泉駅もあります。

不動大橋のさらに先、右岸の中腹に見える丸い小山は「丸岩」と呼ばれる岩峰だそう。
丸岩|長野原町観光情報サイト

なるほど!やんば資料館で「やんばお気楽ガイド」
「なるほど!やんば資料館」にやってきました。

1、2階の一部が八ッ場ダム関連の資料館となっていて、自由に見学できるようになっています。


計画から68年という長い年月をかけて完成した八ッ場ダム。その歴史の中でも民主党政権時代の工事中断とそれに伴う地元の混乱については、資料館の展示(↓ 2009年)だけでなく後述のガイドや道の駅の掲示などでも都度触れられていて、地域にとっても象徴的な出来事のひとつだったのだなと(当時のニュース等で「やんば」の読みを知った人も多いことでしょう)。

2階には八ッ場ダム周辺の生き物関係の展示なども。クマタカの生息域なんですね。

毎週、火・金曜日に開催されている「やんばお気楽ガイド」。30分ほどかけて見習い広報員(見習いとは?)八ッ場ダムに関するあれこれを案内してくれる無料のガイド。丁度開催日ということもあって参加してきました。

ダム建設の経緯から現在の運用状況まで、ざっくりとですが分かりやすく解説して貰いました。
八ッ場ダム周辺を散歩:八ッ場ダム写真集
ダムサイト左岸。




八ッ場ダム天端へ。

フーチング階段と減勢工に掛かる管理橋(八ッ場もみじ橋)。

先ほど歩いたロータリーとダムの減勢工が見えます。

減勢工を真上から見る。黄緑色の部分はクレストゲートの可動部。

ダム湖側。



エレベーターでダムの下へ。新しいこともあってか自由見学エリアの豊富なダムです。




八ッ場もみじ橋(八ッ場ダム下流管理橋)。


ダム下部のゲートはコンジットゲート。両側2門が常用洪水吐設備で、中央が水位維持用放流設備。

減勢池。

ジェットフローゲート(利水放流設備)。

ダムの下にある建物は八ッ場発電所。

周辺はクマ出没注意。

先程は時間がなくて行けなかった吾妻峡見晴らし台へ。

吾妻峡。


八ッ場ダムを見上げる。減勢工、減勢池から続く副ダムが見えます。吾妻川の水はどこかしらの放流設備から流れているはずですが、見える範囲にはありませんでした。

吾妻峡の対岸に階段のようなものが見えますね……

これはどのような階段の跡なのでしょうね。吾妻峡の観光用途や登山道的なもの?

↑↓の階段の間はどう繋いでいたのか。鎖場?

ということでダム天端に戻ってきました。

やんば茶屋、道の駅 八ッ場ふるさと館、不動の滝
やんば茶屋でソフトクリーム(資料館に割引券があります)を食べたりお土産を買って。


「道の駅 八ッ場ふるさと館」、ここでも軽くお土産など。

道の駅の裏には足湯があって、目の前には不動大橋。

対岸の川原湯温泉。吾妻線の川原湯温泉駅あたりだと思います。

不動大橋を渡ったところで車を停められるスペースがありました。

「川原湯不動堂」、ダム建設に伴って移設されたそう。


「不動の滝」は一部が見えますが水量は少なかったです。


不動大橋の歩道から見た、不動の滝と川原湯不動堂。

不動大橋から八ッ場あがつま湖の下流側。

道の駅までの移動で走ってきた左岸の八ッ場バイパス(国道145号)。

ダム右岸側に造成された川原湯温泉エリア。元々の川原湯温泉は吾妻川沿いにあり現在はダムの底。温泉地を移転するにあたって源泉は保護しつつ、新たな源泉も掘られたそうです。

JR吾妻線の川原湯温泉駅。吾妻線はここでトンネルから一瞬地上に現れ、再び長いトンネルになります。この次地上に出るとすぐに八ッ場あがつま湖の上流部を右岸へと渡って、旧八ッ場吾妻線の線路に合流します。

その後、川原湯温泉駅周辺を走って今度は八ッ場大橋を渡り、国道145号で帰路に就きました。伊香保温泉からの八ッ場ダム、楽しい群馬観光となりました。



