9月5日金曜日の午後、関東地方に最接近した台風15号は、本州南岸を通過しながら各地に大きな被害をもたらしました。台風通過後の週末は台風一過のお天気となりました。

台風15号では東京多摩地区では大きな被害はなかったものの、多摩川の水位上昇により今年の5月の大雨以来、大丸用水堰(大丸床止)の左岸側まで多摩川の流れが広がっているのを確認しました。


堰が撤去される以前の大丸用水堰上では、左岸側の低水護岸際にも常に澪筋がありましたが、堰が撤去されて床止となってからは右岸側を流れるのみとなっていました。


そんな大丸用水堰周辺の澪筋の変化を見られるのは滅多にない機会なので、左岸側から床止め周辺の様子を記録しておくことにしました(水位、警報等には注意しつつ)。
増水により多摩川の流れが左岸側に広がっている状態。手前は郷土の森バーベキュー場です。

流れは完全に左岸の低水護岸まで広がっている訳ではなく、左岸寄りの魚道のあたりを水が流れている状況。

左岸側の低水護岸まではまだかなりの水位の余裕があります。

魚道の周囲にはサギ集団。普段はここまで堰周辺に集まっていることはないのですが、増水によりエサ(小魚)が取りやすい浅瀬ができているせいか。

普段は右岸側の魚道付近を流れている澪筋がここまで広がっています。

流れの速い右岸側の魚道は完全に水没しています。多摩川緊急対策プロジェクトにより整備された右岸側の低水護岸、余裕のある高さに設定されているとは思いますが、こうして見ると結構いい所まで水位が上がってます(高水敷の先は多摩丘陵の崖なので問題ない水位なのかもしれませんが)。

是政排水樋管からの流れ込みも増水によりこの水位。


上流方面を見ると普段は流れてない場所を水が流れています。

南多摩水再生センターからの放水口。雨水の下水は別で流しているからかそこまで水量は多くありません(通常の水位だと顔を出しているU字のパイプは沈んでいます)。

左岸を上流方面に少し移動します。

普段は広い河川敷(かつて中洲だった場所)にプールが残る低水路が中洲を残して川になっています。

大栗川と多摩川の合流点あたりから左岸側に向かって水が流れています。かつての澪筋の跡が残っていることもあり多摩川が増水するとこの流れが発生します。

中洲部分の上流寄りはこの夏「R6多摩川是政六丁目河道掘削工事」により河道掘削が行われている場所になります。この河道掘削工事により中洲の土砂が切り下げられていたこともあり、左岸に掛けての流れがスムーズになっているようにも見えました。

このあたり、もう少し上部の土砂が削られたらすぐに水が流れそうな高さに。


右岸側の大丸用水取水口付近は低水護岸のかなり高い位置まで水位が上がっていますし、左岸寄りへの水の流れを作る必要があったのかもしれません。


増水により誕生した湿地帯のダイサギたち。


工事関係者と思われる方々が低水路の様子を確認しているようでした。高水敷から車や重機を下ろす際に使われているスロープも途中から水没しています。

このスロープは5月の増水では大きく崩れていましたが今回は被害が小さかったのか、はたまたすぐに修復したのか、数日後には問題なく使える状態になっていました。

雨の中、ホバリングしていた猛禽(12-100mmの望遠端から超トリミング)、ミサゴかな?

そして台風一過の翌日。今度は大丸用水堰の右岸側に来てみました。増水は前日夜には収まっていました。

南多摩水再生センターの放水は多めかも。

今回の増水は時間が短かったこともあり澪筋に大きな変化はないようです。

堰下には釣人の姿。

右岸側の魚道もいつも通り。

左岸側の魚道は既に水が流れていません。

是政排水樋管からの流れ込みも水位が下がっています。

さらに数日後の左岸側。完全にいつもの大丸用水堰に戻っていました。

土砂に覆われた魚道。

5月の増水直後から洗掘による壁ができてましたが、よりクッキリと削られているような……。

増水したときだけ川になる床止上の左岸側。以前の大丸用水堰を知ってると普段から水が流れていて欲しい気持ちもありますが、上流部の掘削により今後澪筋の変化はあるのか。この夏は大雨による増水が今回の台風15号以外なかったこともありしばらくはこの状態かもしれません(まだ台風シーズンは終わってませんが)。

工事情報 | 京浜河川事務所 | 国土交通省 関東地方整備局
R6多摩川南町河道掘削工事(東京都府中市)[PDF:329KB]
R6多摩川是政河道掘削工事(東京都府中市)[PDF:469KB]
R6多摩川是政六丁目河道掘削工事(東京都府中市)[PDF:394KB]
R6多摩川左岸是政低水護岸工事(東京都府中市)[PDF:390KB]

