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高倍率コンデジLUMIX DC-TZ99を一週間使ったのでファーストインプレッション(望遠域)

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LUMIXの高倍率コンパクトデジカメ「DC-TZ99」を一週間ほど使ってみました。

TZ99を望遠域中心に一週間使ってみた

高倍率ズームのカメラなので、広角端から望遠端まで各ズームレンジでチェックするのが基本ですが、どうも自分が手にした個体の広角側の周辺描写がよろしくない。後日、一旦メーカーに点検に出そうと思うので、まずは問題なく写っていると思われる望遠側を中心にチェックしてみました。


追記:その後メーカー修理を経て周辺描写の懸念も解消しました。広角を含めた描写、フィールドでの操作性、メニュー、電池持ちなど改めてレポートすることにします。

手ぶれ補正もよく効いて片手でも望遠域が使いやすい

広角周辺についての判断は一旦置いて、ピントが合った部分の描写はとても良好。望遠端までズームするとさすがに甘くなりますが、スナップでよく使う100〜300mm付近の中望遠〜望遠域の描写は特に安定しています。
コンデジのシェアを奪った(?)スマートフォンのカメラですが、一部の機種を除くと望遠域はデジタルズームになり、光学ズームで望遠域が使えるのはTZ99のようなコンデジに残された大きな強みでしょう。

以下7枚、JPEG撮って出し(フォトスタイルはスタンダード)。

LUMIX DC-TZ99:98mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:106mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:135mm相当 (JPEG)

TZ99は手ぶれ補正がよく効くので、望遠域でも片手で安定した撮影が可能です。
足元が安定しない川の中から片手でズームしながら65mm、172mm、300mm、720mm相当の画角でスナップしていますが、目立ったブレは見られずデジタル水準器のガイドで水平もしっかり出ています。

LUMIX DC-TZ99:65mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:172mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:300mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:720mm相当 (JPEG)

1/2.3型センサーのコンデジはOLYMPUS TG-6も使っていてこちらも良いカメラですが、撮影時のフィーリングはTZ99の方がなんというか「カメラを使っている感」があります。一昔前のコンデジだとズームレンジとせいぜい露出補正を選ぶ程度で後はカメラ任せ的なところもありましたが、TZ99は露出モードが豊富なのもありますが普段使っているミラーレスカメラの延長で使うことができるカメラだと感じています。

マイクロフォーサーズの同焦点距離クロップと比較

これは少々酷な比較ですが、ちょっと気になっていたことなので。普段使っているミラーレスカメラでTZ99と同じぐらいの焦点距離で撮影したデータのクロップ(切り出し)と比較してみました。

TZ99は35mm判換算で720mm相当の超望遠といっても実際の焦点距離は129mmです。今回はマイクロフォーサーズ用の2万円ほどで買える望遠レンズ(LUMIX G VARIO 45-150mm)の望遠端150mmで撮影して(129mmまで焦点距離を下げて合わせるのは少々面倒でした……)、TZ99の望遠端と同じぐらいの大きさになるようにクロップしてみました。使用ボディはOM-D E-M1 Mark IIIです。

まずTZ99の129mm(720mm相当)、そしてマイクロフォーサーズの150mmをクロップした画像です。

LUMIX DC-TZ99:129mm/720mm相当
E-M1 Mark III + LUMIX G VARIO 45-150mm:150mmをクロップ

マイクロフォーサーズの画像はLightroom Classicの画面で見るとこれぐらいガッツリとクロップしていますが、結果はかなり近いというかクロップしたMFTの方がよく見えるぐらいだと思います。

元画像の画素的にはどちらも20M機なので、クロップしてないTZ99の方がデータのサイズには余裕はありますが、Lightroom(Adobe Camera Raw)のスーパー解像度を使えばその差もなくなります。

今度は100メートル以上離れた建物をやはり望遠端で撮影。これもやはりそこそこ近い結果ながら、マイクロフォーサーズのクロップの方が細かな描写は上のようです。カメラボディの性能差もあるとは思いますが、1/2.3型センサーコンデジの720mm相当の画質に過剰な期待は禁物です。

LUMIX DC-TZ99:129mm/720mm相当
E-M1 Mark III + LUMIX G VARIO 45-150mm:150mmをクロップ

これはどちらのカメラの画質が優れてるかという話でなく、同レベルの画質を得ることが目的ならば、センサーサイズの大きなカメラを使ってクロップする方法もあるという一例です。
もちろんコンデジならではの取り回しの良さや、カメラ1台で完結できるメリットはあります。レンズ交換式カメラにおいてのセンサーサイズ(フォーマット)選択の話と同じで、それぞれの長所短所を理解した上で、目的に応じて適材適所で道具を選びましょうということ。

低感度ならばJPEGの撮って出しでも

TZ99は最初からRAW現像をして使うつもりで買いましたが、低感度での撮影であればJPEGでも十分よく写ってくれるようです。例えば以下のような写真。どちらも光量は十分で、ISO感度もISO80〜ISO200程度。

LUMIX DC-TZ99:678mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:678mm相当 (RAW現像)

ブログで使ったりSNSに投稿する目的ならば正直どちらでもいいですし、拡大した際のノイズ感などはJPEGの方が上手く処理されています。

LUMIX DC-TZ99:537mm相当 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:537mm相当 (RAW現像)

ただし空が白飛びしてしまったような状況だとJPEGの後調整では階調が戻ってこないので、RAWで撮っておいた方が現像の余地があることはいうまでもありません。

高感度はRAW現像やノイズ処理

1/2.3型センサーの高感度の弱さはマイクロフォーサーズ等の比ではなく、さらに20M画素機となれば画素ピッチ的にも相当に無理があるのは想像が付くと思います。一方でレンズの開放絞り値もF3.3からF6.4と決して明るい訳ではなく、撮影シーンによって高感度を使わざるを得ないこともあります。
数年前に登場したAIによるノイズリダクションは高感度域を苦手とする小センサー機の希望の光となりましたが、RAWでの撮影が可能なTZ99でもその恩恵に預かることができます。

望遠域ではシャッター速度優先を使うことも多いので、ISOオートは上限ISO1600に設定していますが、ISO400ぐらいから徐々にノイズが目立つようになります。JPEGでは結構ノイズリダクションを頑張ってくれれますが、ISO1000以上になると自分でRAW現像やノイズ処理した方が良好な結果を得られるように思います。

ISO1250でのスナップをJPEGとLightroomでのRAW現像(AIノイズ除去)で比較してみます。

LUMIX DC-TZ99:214mm相当、ISO1250 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:214mm相当、ISO1250 (RAW現像、AIノイズ除去)

画像をクリックして大きなサイズで比較すると分かりやすいと思いますが、切り抜いた画像でも比較してみます。JPEGもそれなりにノイズ処理をしてくれていますが、やはりAIノイズ除去の効果は一目瞭然。

左:JPEG/右:RAW現像、AIノイズ除去

望遠端720mm相当、ISO1250で撮影したセッカをやはりJPEGとAIノイズ除去を含むRAW現像。

LUMIX DC-TZ99:720mm相当、ISO1250 (JPEG)
LUMIX DC-TZ99:214mm相当、ISO1250 (RAW現像、AIノイズ除去)

こちらも切り抜きで。

左:JPEG/右:RAW現像、AIノイズ除去

このセグロセキレイはISO800ですが薄暗いせいか背景に溶け込むぐらいにノイズが目立ってましたが、RAW現像することでそれなりに見られる絵になりました。

左:JPEG/右:RAW現像、AIノイズ除去

iAズーム、デジタルズームは使わない

TZ99には光学720mmからさらに2種類のデジタルズーム(iAズーム:2倍/デジタルズーム:4倍)が搭載されていて、JPEG記録時のみ使用することができます。iAズームは画質劣化を抑えたデジタルズーム(画素補間技術を使ったズーム)ですが、最大1440mm相当はなかなかに魅力的。

※「EX光学ズーム」はクロップズーム機能なので取り上げません

ただし実際に使ってみましたが、やはりかなり無理がありました。光学ズーム最大からRAW現像してトリミングした方が幾分マシなレベルですし、それならより画角で撮影できた方が構図も安定しますし、なによりRAWで記録しておいた方が現像の自由度も高いです(AIノイズ除去的な機能が今後より進化する可能性もあります)。

まずは光学ズーム最大の720mm相当で撮ったキジ。

LUMIX DC-TZ99:720mm相当、ISO500 (JPEG)

同じ場所からiAズームで1440mm相当。さすがに大きく写ってますが、見るからにデジタルズーム的な劣化した画像になっています。

LUMIX DC-TZ99:iAズーム1440mm相当、ISO200 (JPEG)

1枚目のキジ写真をRAW現像してiAズームの1440mm相当と同じぐらいまでトリミングしてみました。どちらが好きかはお好みですが、自分だったらiAズームよりもこちらを選びます。

LUMIX DC-TZ99:720mm相当、ISO500 (JPEG)

こちらはiAズーム1440mm相当のホオジロ。これはもう証拠写真レベルですね。

LUMIX DC-TZ99:iAズーム1440mm相当、ISO640 (JPEG)

光学ズーム最大からRAW現像して無理のない程度のトリミング。好みはあると思いますが自分はこちらの方が良いと思うので、デジタルズームは封印して良さそうです(そもそもRAW保存の設定にしているとメニューがグレーアウトして選べません)。

LUMIX DC-TZ99:720mm相当、ISO240 (RAW現像、AIノイズ除去)

今回スルーした「EX光学ズーム」ですが、取説では「画質を劣化させずに最大59.2倍まで拡大」と紹介されていますが、記録画素数を落とす必要があり要はセンサーの中央部を切り出したクロップズームです。

LUMIXのミラーレス機(G/Sシリーズ)だと同様のクロップズームは「EXテレコン」という名称になっています。「EX光学ズーム」というのは少々誤解を招く表現な気もしましたが(取説にも画素クロップについての説明は見当たりません)、どうやらLUMIXシリーズでは昔から使われてる機能名のようです。
EX光学ズームとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書

その他の作例

以上、多摩川を散歩しながら望遠域中心にLUMIX DC-TZ99を使ってみての簡単なレビューでした。
画質を求めるカメラではないですが特に望遠域はスマホカメラには不可能な写真が撮れますし、常にミラーレスカメラや超望遠レンズを持ち歩ける訳ではないので、適宜使い分けて行ければと考えています。

この1週間で撮った作例をもう少し乗せておきます(EXIFは付けてあるので気になるデータは確認してみてください)。まずはJPEG撮って出しから。散歩中に見掛けた虫や草花を無理の寄らずに(ズームで引き寄せて)スナップするのには本当に最適ですね。



購入報告の記事にも乗せたキジの写真のトリミングしてないJPEG。オスキジのホロ打ちを待って撮影する際には連写で撮るので、ついシャッターを押した際に力が入って構図がブレがちなのですが、見事に画面中央に捉えたまま撮影することができました。

ここからはRAW現像。接写でもないと精細感を出しにくいコンデジ画質なので羽毛が解像した野鳥の写真はよほど被写体に近づく機会がないと難しいのですが、画角いっぱいで撮らせてくれたハシボソガラス。

これはかなり近いドバト(笑)

交尾中のハムシの仲間。マクロモードは広角端が最も寄れますが、被写体から少し距離を撮ってズームで撮った方が自然な画角で撮れますし、なにより被写体を驚かすこともありません。これはクロップしてます。

産卵中でも無闇に近づくと産卵を中断して逃げてしまうギンヤンマですが、720mm相当の望遠のおかげで少し離れた場所から大きく記録することができました。

上でも登場したセッカ。やや後ろ姿ですがまあまあ綺麗に写っていたので。これはトリミング。

逆光なこともあって写りは全然よくないのですが買物の際に街路樹で見掛けたオナガ。カメラ(望遠レンズ)を持ってないときに限って遭遇する(かつちょっと撮りたい)鳥といえばオナガとツバメですが、こういう機会を逃さず記録できるのはこのカメラならでは。


動体はやはりコンデジでは難しいですが、ゆっくり飛んでいる航空機や鳥ならば、よく効く手ぶれ補正のおかげもあって、望遠端側でもライブビューに捉える続けることがしやすいかも? こちらはあまり撮影機会がなかったのでとりあえずの作例。警察のヘリコプターとトビとカラスのケンカ。トリミングしてます。

まあまあ面白いシーンが撮れたと思ったのですが、逆光気味なこともあってコントラストがいまいち。それでも上空を飛ぶ撮りをコンデジのモニターで追いかけながらピントを合わせられるのだからなかなかのもの。


逆光の弱さといえばド逆光(JPEGでは真っ黒)から現像で無理やりシャドウを持ち上げたモズ。撮影距離はまあまあ近いですが写りは厳しいことになってます。それでも記録としての写真ならば十分か。

動画も少しだけ。光学の最大望遠で手持ち撮影しています。オオヨシキリはかなり距離があるのですが(50mぐらい?)ですが、それでも余裕で耳に入ってくる鳴き声の大きさが分かると思います。