シロクジャクとオウギバト。
先日、妻に掛川花鳥園に行かないかと持ちかけられた際は正直少し迷いました。掛川花鳥園は来園者と動物(鳥)との触れ合いを前面に押し出したテーマパーク、いわゆる鳥カフェの規模の大きなやつで、日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟しているような動物園とはベクトルの異なる施設です。
個人的に全てではありませんがアニマルカフェ系の業態には思うところもあって距離を取っていたこともあり、花鳥園とは一体どんなものか……としばし考えましたが、やはり何事も経験だと行ってみることにしました。
掛川花鳥園自体は写真界隈では撮影スポットとして有名なこともあり、以前から存在は知っていましたし、今回は素直に珍しい鳥たちを見たり写真撮影を楽しむことにします。
「花鳥園」という施設形態ですが、名前の通り「花と鳥」をメインにしたテーマパークで、元々は静岡県の企業である加茂グループが設立、運営を手掛けていたもの。花鳥園と名の付く施設は静岡県内を中心に複数存在しますが、掛川花鳥園は現在は加茂グループを離れ、独立した運営となっているようです。
ちなみに加茂グループが運営していた加茂荘花鳥園(掛川市)と富士花鳥園(富士宮市)は昨年末から今年に掛けて休園になっていて、運営会社の加茂(株)は今年1月23日付で破産しています。
また、富士花鳥園の運営を譲渡されて再オープンを計画しているのが、長年の法令違反で社会問題になっているノースサファリサッポロ(北海道)の運営会社であるサクセス観光との報道もありましたが、このような状況下で大丈夫でしょうか?
掛川花鳥園に関しては運営会社も異なるため、これらの話とは直接関係はないと思われますが、以前より諸々の報道を見ていたこと、最近では動物園に足を運ぶと必ずアニマルウェルフェア(動物福祉)への取り組みについて目にしていたこともあり、花鳥園という施設についてやや懸念を持っていたのも正直なところです。
さて、ちょっと面倒くさい感じの書き出しになってしまいましたが、ここからはギアを切り替えて「掛川花鳥園」のレポートに入ります。
掛川花鳥園の入園料は大人1,800円、隣接する駐車場の利用は無料でした。園内は屋外もありますが屋内展示が中心で、受付や土産物店のあるメイン棟から半屋外のペンギンプールを挟んでガラス張りの大型温室ゾーンへと繋がっています。温室は大きく5〜6箇所?に区画が別れていて、植物の展示と飲食メインのエリア、バードショーが行われるエリア、鳥が放し飼いにされているエリアなど複数あります。
入園してすぐにあるのが「世界のフクロウ展示」ゾーン。ガラス張りのケージに様々な種類のフクロウやミミズク、そしてワライカワセミが展示されています。
ちなみに耳のような羽角のあるミミズク(ヅク)ですが、フクロウとの違いは見た目と呼び方の違いのみで、分類学上の違いではありません。これは昨日の鳥展で覚えたばかりの知識ですけども。
フクロウ目の中で科が別れているのはメンフクロウ科。
ワライカワセミ。カワセミのフォルムのまま巨大なのがいい。飛んでいるところを見てみたい。
「ペンギンプール」。1日2回の餌やり体験、膝に乗せての記念撮影も行われているそう(有料)。
飼育されているのはケープペンギン。
プールに入らず日向ぼっこそている個体が多いので、やはりアフリカのペンギンは寒いのは苦手なのか…… と思ったら、後で見たら普通に泳ぎまくっていました。
ペンギンプールの反対には「オシドリの池」。
フラワーパークではお馴染みの花を吊るす展示がされている巨大温室。レストランなどもあるフードエリアになっています。
バードショーは屋内、屋外で一日3回開催。その他、フクロウを腕に乗せての記念撮影など。
バードショーが行われる「温室内わくわくイベント会場」に入るとこの時間はバードショーではないですが、フクロウのトレーニング?が行われていて最後に少し見ることができました。
アフリカワシミミズク。殆ど羽ばたくことなく羽根を地面に擦るぐらいの低空飛行から……
最後にふわっと上昇して飼育員さんの腕に止まります。
イベント会場の横で、脚にリーシュコードを付けて展示されている猛禽たち。モリフクロウにメンフクロウ、アフリカオオコノハズク、アカオノスリ、みんな大人しくしてます。
オーストラリアガマグチヨタカは木の枝に擬態している?
隣の温室「インコのスイレンプール」はコガネメキシコインコが大量に放し飼いされています。餌も販売されていて来園者が自由に餌やりをしたり、腕に乗せたり可能。よく鳴くインコなのでとても賑やかです。
この温室は水槽もあってスイレンが栽培されています。
水槽の中には小魚がギッシリ。熱帯魚?
ふれあいフィッシュ…… ドクターフィッシュ的なあれでしょうか。中にいる魚は結構大きそうですが……。
オオオニバスのプール。こちらも熱帯魚がたくさん。
インコとスイレンのエリアから一旦区切られて「エボシドリとヘラサギの広場」。
オウギバトは世界最大のハト(鳥展より)。
イワシャコ。ライチョウファン的にキジ科の丸っこい鳥は好き。
ニシムラサキエボシドリ。
ハイイロエボシドリ、ちょっと猛禽ぽいけどエボシドリの一種。奥に見えているのがズグロエボシドリ。
キムネチュウハシとアカオビチュウハシ。
クチバシが大きく鮮やかなこれぞ熱帯の鳥。
キンムネオナガテリムク。温室内の鳥たちは来園者が購入した餌をあげられるので、どれも人馴れしていて近距離でカメラを向けても全く逃げませんし、むしろ近寄ってくるぐらい。
エボシドリとヘラサギの広場の先が「ハシビロコウの森」。既に紹介したので割愛。
隣の温室へ「オオハシとトキの水辺」。
たくさんいるクロエリセイタカシギ。
シロトキにショウジョウトキ。
オオフラミンゴ。
ムギワラトキ、構造色の羽根が美しい。
クラハシコウはコウノトリの仲間。ちなみにハシビロコウも「〜コウ」の付く名前ですがペリカン目です。
キンケイ。分類的には隣の部屋にいそうだけど、なぜかこちらにいました。
少し離れたところに止まっているオニオオハシ。とはいえこれでも300mm相当の望遠なので鳥を見る距離としては決して遠くない。鳥たちが人馴れしすぎて全く逃げないので不思議な感覚です。
屋外エリアもありますが、動物由来感染症対策ということで「エミュー牧場」を始めほぼ閉鎖されていました。恐らく野鳥や来場者の靴等を通しての鳥インフルエンザの感染、拡散を防ぐのが目的でしょうか。
ヒクイドリ科のエミューは一度間近に見てみたかった鳥ですがこればかりは仕方ありませんね。


屋外の猛禽ケージ「森のバードハウス」。そこそこ広さのあるケージですが、猛禽たちはリーシュコードが付けられて止まり木からはあまり身動きの取れない展示。


バードショーも見ました。
飛ぶメンフクロウ。
メンフクロウの輪くぐり。
小さなアナホリフクロウ、餌に釣られてあちこち走ったり飛んだり……。
カラカラの餌探しにくす玉割り。
ペンギンも芸をするのですね。
メンフクロウの輪くぐりに参加した妻が貰った記念品。
持っていったカメラ。OM SYSTEM OM-1にレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROが丁度いい感じ(テレコンはほぼ不要でした)。遠くの鳥を撮ることはほぼないので、フルサイズの70-200mmぐらいが一番使いやすいのではないでしょうか。
以上、初めての掛川花鳥園でした。このようなテーマパーク自体が初体験でしたが、世界中の珍しい鳥たちを檻で区切られた動物園とは違う距離感で見られるのはとても新鮮でした。また、掛川花鳥園体験で見たばかりの鳥について、科博の鳥展で情報を補うことができたこともあり、連続して行ったのは良い相乗効果になりました(順番は逆でも良かったかも)。
お土産に買ってきた鳥アイテム。ワライカワセミはリアルカワセミぐらいのサイズ!?