OM SYSTEM(OMデジタルソリューションズ)のM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROを買ってそろそろ3ヶ月になるので、感想をまとめてみました。
今週のお題「最近買った便利なもの」
超広角に強い新世代の便利ズーム
基本的なスペックとファーストインプレッションは購入報告と直後の記事にて紹介していますが、35mm判換算で16-50mm相当、開放絞りF4.0通し、重量411g、最大撮影倍率0.42倍というスペックを持つ、OLYMPUSブランド(発売当時)のPROレンズシリーズのズームレンズです。
発売当初から便利なことは分かりつつも色々とネガティブな印象もあり(暗い・面倒・言うほど軽くもコンパクトでもない・見た目……)、2年近く手を出してなかったのですが「やっぱ便利そうだし使ってみるか」と心変わりして購入。基本的な印象はファーストインプレッションのときから大きく変わってません。
- 超広角から標準域をカバーする、今までありそうでなかったズームレンジ
- 沈胴機構は面倒(操作の手間、使用状態にしてないとカメラの電池残量が見られない等)かつ不細工
- 使用時のサイズは以外と大きい(12-100mm F4.0 IS PRO並)
- 411gとそこそこ軽量だけど、フードやフィルターを含めたら460g程度になるのは知っておけ
最大のアピールポイントは35mm判換算で16mmから50mm相当をカバーする、ありそうでなかったズームレンジ。最近になって各フォーマットで超広角から標準域をカバーするズームレンズがいくつか登場していますが(20-60mm、20-70mmなど)、広角側が16mm相当まで広いのはは未だこのレンズだけ。
ズーム倍率にしてみるとたった3.1倍ですが、広角粋になるほど1mmの画角変化が大きいので、感覚的には24-120mmのような5倍程度のズームレンジに匹敵するぐらい手数があるレンズのように感じます。
作例と感想まとめ
同じ場所から8mm / 14mm / 25mm(35mm判換算 16mm / 28mm / 50mm相当)で撮影。特定の被写体を中心にズームしていくというより、焦点距離によって風景の中から切り取る視点が変化する感じ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROのときは、広角端と望遠端、場合によって10mm(20mm相当)あたりを使う感じだったのが、さらに35mm(40mm)/ 50mm相当の焦点距離を手に入れた感じ。
50mm相当で目の前の雪原と遠くに見える山を撮っていると、雪山の強風で雪が舞い上げられていることに気づいたので、それなら超広角で太陽まで入れて雪の反射を撮ろう…… となります。
広角で空を広めに入れていたらいい感じの彩雲が見えたので、すぐに50mm相当までズームして彩雲を撮る。
直後、雲は太陽から外れてしまったので↑の瞬間に気づいて撮れたのは一瞬のことでした。
今までの標準ズームや広角ズームだと24〜28mmあたりで焦点距離が切り替わるので、レンズやカメラを交換する必要がありましたが、同じカメラのままで焦点距離を切り替えられるようになりました。
自分は特に記録写真の用途の場合は意識的に広角を使うことが多く(強いパース感と情報量の多さの両面から)、長らく標準ズームレンズを持ち出すような場合でも広角ズームレンズを選んでいたのですが、同じレンズのま標準域の構図が作れることのありがたみは実際に使ってみて改めてよく理解できました。
この辺の感覚は普段から標準ズームを使っていると当たり前なのかもしれませんが、日常的に広角ズームばかり使っていた自分にとっては新鮮です。
マクロの強さはOM SYSTEMのPROレンズの場合はこのレンズに限ったことではありませんが(12-40mm F2.8 PROや12-100mm F4.0 IS PROはハーフマクロ以上まで寄れる)、広角ズームレンズを使っていて、50mm相当での(ほぼ)ハーフマクロ撮影ができるのはやはり今までにない体験です。
購入を迷う大きな理由でもあった開放絞りF4.0という暗さ。同じF4.0通しの12-100mm F4.0 IS PROは長年愛用してるとはいえ、このレンズで星を撮ろうと思ったことはありませんし、F4.0レンズでの飯撮りはどうにも微妙であるとずっと感じていました(暗さよりも被写界深度の問題)。
せっかくの便利レンズでも星を撮るために別のレンズを用意する必要があるなら本末転倒だけど…… そう思って実際にF4.0で星を撮ってみた結果。
現在は、Lightroom Classicをはじめ優秀なノイズリダクションがありますし、高感度ノイズを恐れずに必要なだけISO感度を上げて撮ればいいのだなと。別に星だけを目当てに山に行く訳ではありませんし、自分で納得できる記録写真が撮れるならそれで良いという考えです。
飯写真はダメってことはないけどやっぱり得意ではないかな……。個人的にはご飯撮りをマイクロフォーサーズで行う場合、単焦点レンズを使った方が被写界深度的にも丁度いいように感じてます。画角に関しては一般的にテーブルフォトで(席を立たずに)使いやすい焦点距離は網羅しているので問題なし。
あとはやはり標準域では距離が足りないときはもっと長さが欲しいこともある。撮影側が寄れる場合は良いとしても、物理的な距離がある場合にはそこまで万能な焦点距離ではありません。こればかりは必要に応じてより長いレンズを使うしかありませんね。
万能ではないけど広角好きにはたまらない便利さ
実際に使ってみて感じるのは、便利なことは間違いないけど万能ではないということ。
登山や旅行の際これ1本で全然行けますが、中望遠以上を切り捨ててることは理解しておかないと、人物撮影だったり動物や鳥との遭遇の際には少し悔しい思いをするでしょう。
過去、望遠での動物撮影を想定してなかった際でも、12-100mm F4.0 IS PROを持っていたことで印象に残る写真を残せたケースはありますが、さすがにそこまでの万能さはこのレンズにはありません。
超広角は外したくないけど、標準画角やマクロも撮りたい、望遠とボケ感は諦められる、そんな要求にならばぴったりハマってくれるマイクロフォーサーズでは唯一無二のレンズでしょう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROの主な仕様
M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO|交換レンズ | OM SYSTEM
- マウント:マイクロフォーサーズ
- 焦点距離:8-25mm(35mm判換算16-50mm相当)
- レンズ構成:10群16枚(DSAレンズ1枚,EDAレンズ2枚,スーパーEDレンズ1枚,EDレンズ1枚,スーパーHRレンズ1枚,HRレンズ2枚,HDレンズ1枚)
- 開放絞り: F4.0
- 最小絞り:F22
- 最短撮影距離:0.23m(ズーム全域)
- 最大撮影倍率:0.21倍(35mm判換算:0.42倍)
- フィルター径:Ø72mm
- 絞り羽根:7枚(円形絞り)
- 最大径×全長:Ø77×88.5mm
- 重量:411g
- 希望小売価格:160,000円(税抜)